私は自作の曲を演奏するプレイヤーが大好きです。
ずいぶん前のことになりますが、ジャズピアニストの
佐久間優子さんのライブに行った時のこと、
いつものように彼女のオリジナル曲の
パワフルな演奏が聴けて大満足していました。
ところがライブ終了後、本人に話を伺ってみると、
意外にも自作の曲を演奏するのはとても難しく、
これまで試行錯誤を繰り返してきたとのこと。
そしてなんと、気に入ってくれたのならと、
お気に入りの曲の譜面を惜しげもなく私に。
喜び勇んで帰宅し、早速譜面をたどってピアノを鳴らしてみると、
技術は違えど!
美しい曲の幻影が私の脳裏に浮かび上がったのです。
(きっと本人には更なる美しい何かが見えているのだと思いますが)
曲の持つパワーと、共演者に伝えるための譜面づくりの大切さを
実感しました。『オリジナル』とは、最後のパズルがはまった瞬間から
意志を持って作者のもとから歩き出し、
もはや誰の物でもなくなるのかもしれません。
作り手としては、曲が曲の持つ力を最大限に発揮してくれるプレイヤー
に出会うことを夢見て、そしてそれがもし自分自身であったなら
どんなに幸せだろう、と思いを馳せながら楽器に向かう今日この頃です。